2012/06/12

野生のアザラシと共存する方法

サンディエゴの北、ラホヤ(La Jolla)。
これまでにも何度かブログに写真を載せてきているが
ここには野生のアザラシが間近に見られる小さな入り江がある。

久しぶりにラホヤに来たので、海獣ファンとしてはぜひともアザラシたちを見ていかなくちゃ!

ほんの2~3頭しかいないときもあるけれど、今日はどうかな~...


おおおお、今日はたくさんいる~~! ヽ(*´∀`)ノ 

アザラシたちは無防備にもそのでっぷりしたお腹を見せて、ごろんごろん♪


しかし...

この日はアザラシの数の多さよりもどうしても目がいってしまうことがあった。
そして、それが気になって仕方ない。

それは何かというと...

人間がアザラシたちに接近しすぎているということである。






ここのアザラシたちは、いうまでもなく野生個体である。
観光地であるがため、観光客には慣れているのかもしれないが...

それにしてもみんな近寄りすぎだよっ!!!


これまでは、地元のアザラシ保護NPOからではないかという人がいることが多かった。
彼らは砂浜に置いたビーチチェアに腰をかけ、アザラシたちに近寄りすぎる人がいた場合、危険だからそんなに近づかないでね...と、決して攻撃的ではなく、けれどバシッと言い切る形で注意を促していたように記憶している。



けれど、この日はそういった人は見当たらなかった。
アザラシたちに人が近寄りすぎないよう、ロープが張られていたこともあったと思うんだけどな...

ロープもなく、監視しているボランティアもいないこの日は大変なことに...


人間とコミュニケーションを取るのも好きらしい好奇心旺盛なアシカと比べると
アザラシたちはマイペースで、どんなに観光客が来ようと人間には無関心に見える。

でも、いくら可愛いからといったって野生動物なのですよ、みなさん...
小さな子供がアザラシにちょっかい出したりして咬みつかれないという保証はないわけで。

いくら自己責任の国アメリカでも、ギリギリまで近寄っている人たちには驚くばかり。
こんな小さな子供をこんな風にアザラシのそばに置いて...何かあったらどうするの?!


Jも同じように思っていたらしく、野生動物に敬意を払ってない! と不機嫌になってきている。
(動物大好きなので、そういうヤツなのです)


ホント、アザラシ保護NPOのボランティアの人たちは今日はどうしちゃったんだろう?

ここの砂浜には誰でも自由に降りられるとはいえ、アザラシたちの邪魔はしないように...と、このような大きな看板が出ている。

...にもかかわらず、みんなアザラシたちが野生動物だってこと、忘れちゃってるんじゃないの?


まあ確かに可愛いからねぇ...
アップで撮りたい気持ちはわからないでもないけれど。

でもそれなら私のようにちょっと離れたところから望遠レンズで狙うべき!





出産シーズンは過ぎていたけれど、まだちっちゃいのがけっこういたな~♪


この口元がなんともいえないのよね、アザラシってのは。(^O^)


それにしても一度咬まれでもしないと人間ってのは理解できないものなのだろうか。
何度もいうけれど、ここはふれあい動物園じゃないのに。
私は気づかなかったけど、Jはアザラシに触ろうとしている人さえも目撃したらしい。


そんなとき、30代と思しき白人男性が大声で何かいいながら砂浜に降りてきた。

「はいみんな、近寄りすぎ、近寄りすぎ!ここのアザラシたちにそんなに接近することは違法です!さっさと彼らから離れないと法で罰せられますよっ!」

最初、例のNPOのボランティアの人が来たのかな? と思ったら、ごく一般の観光客の一人であるらしかった。

そのあまりに堂々とした警告っぷりに、アザラシのそばにいた人たちはついその場を離れる。

一人の初老の男性を除いて...


ウェットスーツに身を包んだその初老の男性は、血管がブチ切れそうな勢いで最初の彼に怒鳴りながら反論しだしたのである。



何の権限があってキミはそんなことをいうのだ?!
自分がここで何をしようとそれは自分の勝手であって、キミにそれを阻止する権利はない!



周囲の人たちは、はぁ? といった表情で2人をポカンと見つめている。
そして大声でやりあう2人には目もくれぬ、相変わらず無関心のアザラシたち。(笑えた...)




結局、しばらく口論をしていたものの、その後この2人は和解したらしく、10分後には、砂浜に降りる階段のところで、笑顔さえも見せて言葉を交しているのを見かけた。(変なの...)

それにしてもアザラシたちも、もう少し人間を怖がるとか、そばに来られたら焦って逃げるとか、たまにはクァッ! と威嚇でもするとかすればいいのに、彼らはホントにマイペース...



野生動物との共存は難しい。

彼らに接近しすぎてはいけない理由は、もちろん咬みつかれたりする可能性があるから...というのもあるが、野生個体は人慣れしないほうが彼らのためなのである。


ここのアザラシたちにお菓子をやろうとするバカな観光客はさすがにいないだろうが(いたりして?)、たとえば野生のクマなどに人間の食べ物を与えたりした場合、彼らはあっという間に「人間は美味しいものをくれる存在である」と記憶する。

そして、お腹が空いたとき、食べ物を求めて人間に接近するかもしれない。

人間に近寄りすぎた野生動物を待っている運命は何か?



そう、人間の生活の害を与えるかもしれない動物は...いずれは駆除されるのである。

さすがにアザラシたちは民家の庭先までやってくるわけではないだろうが
彼らに近寄りすぎた子供がもし咬みつかれて指の数本でも失くしてしまったとしたら...

近寄りすぎたほうが悪いのだと考える人ももちろんいるだろうが
「そんな危険な動物は人間の生活圏から追い出してしまえ。殺してしまえ」
そう考える人がいないとも限らないではないか。

Keep wild things wild (野生動物は野生のままに)

国立公園などに行くと、看板などによくこの言葉を見かける。
餌付けしたり、必要以上に接近するな、ということである。

野生動物と人間が適度な距離を保ってこそ、この地球上でうまく共存できるというものなのだ。




※ラホヤ市では、アザラシの糞尿で海水が汚れて人間が海水浴できない、という馬鹿げた理由でアザラシたちを追い出せ...という人たちと、海はもともとは彼らの世界なのだ、とアザラシたちを守ろうとしている保護派とが対立し、もう長いこと裁判沙汰になっています。
興味があるかたは当ブログの過去記事を読んでみてください。





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12 コメント:

クリスタル さんのコメント...

野生動物は野生のままに。。。これって、すごく難しいことだけど、本当は鉄則なんですよね。
おっしゃるように、人間の身勝手で(自分では親切心だと勘違いしてしまう)自然の人間界の境界線を飛び越えてしまった後に、イノセントな彼らにシワ寄せがやってきてしまう可能性が大きいですものね。
どんなに可愛くって、どんなに触れてみたいとしても、やはりその境界線は保つことがうまく共存していくということなんだな~ってしみじみ改めて感じました。

Gavi さんのコメント...

アザラシさんたちいっぱいなのにゃあ!
これが日本だったら絶対おやつあげちゃう人がいると思うよ・・・
ちょっと興ざめかもしれないけど・・・近寄れないようにローブなりなんなりで人間ゾーンとあざらしさんゾーンくぎってくれればいいのにね・・・

ねこぢい さんのコメント...

野生動物とのつきあい方というか「ルール」が守れない人間っていうのはどこにでも居るもんですね(-_-;)
いっそ人間が滅んだ方が、
地球にとっても、野生動物にとっても幸せなことかもしれない・・と、
ついつい極端なことを考えてしまいます・・・

まりおまま さんのコメント...

野生動物と人間の距離、重なり合わないのが理想ですよね。
それにしても、このアザラシとの距離はすごいもんですねえ。
他の動物がいてもアザラシって平気なんですね。
つまり、ニンゲンも他の動物ってことで。
変な手出しさえしなければ。。。

日本で今、広島の観光地宮島の鹿が増えすぎたため、野生に帰すということになり、えさを与えないように、というお達しが出ているそう。
でも、その鹿たちは実は奈良から観光用に連れて来られた鹿で元々野生ではない。
そのために、えさを与えられずに餓死する鹿たちが出始めているらしいのです。
こんな勝手ってないですね。
どこまでニンゲンってエゴなんだろうと腹が立ちます。
そんな話を聞いた後だったから、このアザラシさんたちののんびりムード、こんなニンゲンに近い所にいながら野生として生きてるアザラシさんたちがたくましく思えてしまいました。
まあ、海に生きる彼らだから、本当の意味でのニンゲンとの距離は保てているんだろうけれど。

maru-tonpi さんのコメント...

同じ地球の住人としては仲良く暮らしたいですね。

近くで見たいのは、とてもよくわかりますが
この距離って、かなり危険な気がします。

お昼寝中とはいえ、野生ですもんね。

mari_ca さんのコメント...

★クリスタルさん:
庭にくる小鳥に餌をやるくらいならともかく、こういった野生動物にはやっぱり適度な距離を保つべきだと思いますね。
でも、ホントにびっくりするくらいの人がそんなことも理解してないんですよねー。
特に大人!
学校では、子供たちにこういう人間と野生の共存についても教えてくれたらいいのに...と思います。

★Gaviちゃん:
たった一頭のアザラシが出現しても、お祭り騒ぎになって、果ては住民票まで出しちゃう日本だからねぇ...
ホントはロープなんてなくたって、みんなが野生動物に接近しすぎることはダメだって理解してればいいんだけど、そうもいかないんだよね。とほほ。

★ねこぢいさん:
あー、それはわかります。
というか、私も同意見かも...
人間のために自然を守るのではなく、自然を守るために、地球を汚すだけの人類なんてものは排除する、というのもセオリーとしては十分アリだと思いますから。

★まりおままさん:
奈良のシカも、あれって一応野生動物という認定らしいですね。
鹿せんべいなんてものまで売られてるし、もう完全に地域のペットみたいな形にはなっていますけど...
それにしても、野生に還すために餌を与えないって、可哀相...
それまで人に餌を貰いたい放題だったのが、今更自然の中で生きていけるわけがないじゃないですか。
ホント、人間ってエゴのカタマリ。

★maru-tonpiさん:
見た目は可愛いアザラシですが、骨ごと魚を噛み砕くキバを持つ、立派な野生の肉食獣ですからね。
こんな近くによっていく人の無知さにも呆れます...

nyankoa さんのコメント...

mari_caさん、こんにちは。
こんな光景初めて見ました。人がビーチに下りているのさえ見たことがありません。やはり、NPOの人がいなかったからでしょうか?

しかし、あまりにも無神経過ぎませんか?私も憤りを感じます。このビーチはアザラシ達の生息地ですから、人間で言えば家であるわけですよね?!そこにドカドカと上がり込むのと同じじゃないですか?!犯罪ですよ!!

可愛いアザラシ達のプライバシーを尊重して、マナーを守って見守って欲しいです。

mari_ca さんのコメント...

★nyankoaさん:
私達も、ここまでたくさんの人はこれまで見たことがありませんでした。
ホント、無神経すぎますよね。
無知にもほどがある...
アザラシたちももう少し怒るとかすればいいのにと本気で思いました。
アシカはもう少し人間に危機感をもたらすような気がするのですが、アザラシくんたちは無関心すぎていけません。とほほ。

T. Fukui さんのコメント...

はじめまして。ケニアに住んでいる者です。野生動物と人間が上手く距離を取っていくのは本当に難しいですね。ケニアでは毎日のように野生動物が密猟などにより殺されている一方で、逆に地域住民が野生動物に襲われ命を落とす事故も後を絶ちません。
私もブログでアフリカの野生動物を紹介しているので、ぜひ一度お越しください。

mari_ca さんのコメント...

★T. Fukuiさん:
ケニアにお住まいとは!
日本ともアメリカともいろいろなことが違うのだろうなぁ…と想像してしまいます。^^
ケニアあたりになると、野生動物の存在はかなり身近なのでしょうね。
命を落とすこともあるとなると、野生動物とはまさに真剣勝負の共存なんだろうなぁ…

投資の資金 さんのコメント...

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

maru-tonpi さんのコメント...

ご無沙汰しております。
久々のコメントが悲しいお知らせになること
お許しください。

11月8日 未明。
愛猫「まる」が多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)という病気で旅立ちました。

診断が出てから一ヶ月足らず。あっという間でしたね。
17日の誕生日を迎えられませんでした。

残念です。