2012/06/16

水の力 -ホースシューベンド アリゾナ州

アンテロープ・キャニオンに行ったとき、ペイジの街に到着した一日目の夕暮れ前に少しだけ時間があったので、このあたりでどこか見ておくべき場所はあるか...と、いかにもナバホ族らしい人に尋ねると、ホースシューベンドは美しいよ、といわれた。

ホースシューとは、馬の蹄鉄のこと。
ベンドとは、曲がること。

つまり、馬の蹄鉄のようにぐにゃりと曲がっている場所、という意味の場所。

Googleの地図で見ると、確かに馬の蹄鉄にも似た曲がりっぷりが見てとれる。


それでは暗くなりすぎる前にさっそく行ってみましょうか。(^O^)

場所はわかるかな...と思ったら、あっという間に見つかった。
何しろ辺りにはなーんにもないので、迷えというほうが難しいくらいなのである。

国道89号線を降りてすぐのところにある駐車場に車を停めると、目の前に上り坂がある。
地面は...海岸の砂よりももっともっと一粒一粒が細かい、パウダーのような砂地。

急な坂ではないものの、砂地は歩きにくい。

そこを登る。


日本だと、観光スポット周辺には売店などが立ち並びそうだが、ここはホントに何もない。

しばらく歩くと、小さな屋根付きの建物があった。
いわゆる東屋だね。疲れた人はここで休めというわけかな。


休むほど疲れてなかったので、さらに歩く。


赤い地面には、こんな模様が浮かび上がっている。
これは...水によって作られたものだよねえ?

そんな不思議な大地を踏みしめならが、さらに歩く。


振り返ると、さっきの東屋があんなに遠くに見えるようになっていた。


駐車場から歩くこと1km近く...


崖っぷちに立つ人の姿が見えてきた。



着いた~~♪

崖っぷちに這いつくばるようにして、景色を見下ろしている人がいる。(^_^;)


ここからの眺めは、はい、こんな感じ。

景色が雄大すぎて、カメラにはまったく収まり切らない。(笑)
実物はものすごく広々とした光景なのに、写真だと伝わらないなあと思うことはとても多いのだけど、ここの景色もその一つだなぁ...


下に見える水は、コロラド川である。

崖っぷちになっている辺りは、標高1280m前後。
そして、この場所でのコロラド川は海抜975mということなので、高低差は300mほど。

高所恐怖症の人にはキツい眺めかもしれない。(^_^;)


この赤砂、決して固そうには見えないし、あんまり端っこのほうに立つのはやめておこう。


あ、はるか遠くにカヤックを楽しむ人達の姿が...
下から見上げるこの断崖絶壁はどんな感じなのだろう。


ところで、ここは国立公園でもなんでもない、単なる観光スポットなのでそれも理解しないこともないのだが、たとえばグランドキャニオンなどの国立公園に行ってもいつも驚くのが、危険防止のための柵があることのほうが珍しい、ということである。

日本だったら柵を張り巡らし、危険なのでこれより先にいは行かないようにと書かれた看板があっちこっちに立てられるのではないか。

ホント、なーんにもない。


いや、正確にいうとここにも危険なので端っこに立たないように、という看板はあった。

さっきの東屋の近くに...

そんな遠くにポツンと看板があったって、それを見ている人は少なそうだったし、実際の崖っぷちから数百メートルも離れたところに立てたって、どんだけ意味があるものなのやら...


自己責任の国、アメリカらしいといえばそうなのだろうか。

まあ、確かにこんなに美しい場所に柵やロープや看板がうるさいほどに設置してあったら興ざめかなぁ...とも思うけど。(笑)

そんな風に、落ちそうになってる真似してふざけてると、ホントに落ちるぞ!


実際に落ちた人はいないのかなぁ...と思っていたのだが、後になってネットで調べてみたところ、2010年にギリシャからの男性観光客が、写真を撮っている最中に転落しているらしい。

事故が起こる寸前、彼が一緒に観光していたツアーグループのメンバーは、崖っぷちから離れろ!と彼に大声で警告していたという。

この辺り独特のこの赤い地面は、サンドストーン(砂岩)と呼ばれ、非常に脆いのである。

ここで転落事故が起こる頻度は柵などがないことを考えると意外と低く、ギリシャからの観光客が落ちる前は、14~15年の間そういった事故はなかったというのも驚きではあるが。


だから、人は崖っぷちに立つのではなく、このようにへばりつくようにして下を見る。
まあそれでもサンドストーンが崩れないという保証はないのだが...転落の可能性は下がる?

事故死したギリシャ人の男性は、180m下の岩に叩きつけられたという。

もちろん、即死。

怖くてしかも痛そう...というと、180mも落ちる間に失神してしまうのでは? とJはいった。

そうなのだろうか。



そういえば少し前にも、ナイアガラの滝で写真を撮っていた日本人旅行者が、滝の中に転落する...という死亡事故があった。
おそらくそこにも、ほんの気持ち程度の柵しかなかったのではないかと想像はつく。


危険な場所は自分で判断し、自分で気をつけなさいよ...
自己責任とはそういうことなのである。



日没が近くなるにつれて、訪問客の数が増えてきた。
とはいっても、この程度の人数ではあるが。


コロラド川がグランドキャニオンを含むこのあたりの岩の浸食を始めたのは、今からおよそ4000万年前であろうと推測されている。

気が遠くなりそうな年月を経て、水は岩を削りとり続ける。

そして、今のような峡谷の形になるのが、およそ200万年前。

現在でも水による浸食は続いており、ウィキによると、グランドキャニオンでは最古でなんと20億年前の原始生命誕生時の地層を浸食しているのだという。



若いカップルの姿も多く見かけたので、ここは地元ではデートスポットなのかもしれない。

数千年の大地の歴史を感じながら、好きな人と空いっぱいの夕日を眺める。

お金をかけた街中のデートよりも、数倍強く思い出として胸に残りそうではないか。(^o^)









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9 コメント:

nyankoa さんのコメント...

mari_caさん、こんにちは。
こんなところがあるんですね〜。アンテロープキャニオンに行った時は気が付きませんでした。

それにしても、雄大な景色!夕日が美しいですね。

確かに、アメリカでは崖に柵を作るとかって少ないですね。景観を損なうからでしょうか?やはり、事故責任のお国柄?ラホヤのTorrey Pinesでも転落事故が多いですよね。崖っぷちには気をつけないといけませんね。

tetsurow さんのコメント...

うわ~っ、高低差300mですかぁ~。
高いところが苦手な私、
mari_caさんのお話を拝読しただけで、
心臓がバクバク、脂汗が出て来ちゃいました。
でもその絶景たるや、素晴らしいのでしょうね。
数千年の大地の歴史、
私も好きな人と感じてみたいです。

mari_ca さんのコメント...

★nyankoaさん:
ここは地元の人に教えてもらわなかったら、気づかないまま帰宅してたと思います。^^;
私は名前だけは聞いたことがあったけど、あれ、こんなところにあったのか?といった感じでした。
ホント、こっちは安全対策の柵が少ないんですよねー。
Torrey Pinesも転落事故が多いのですか。
あそこもかなり高台だし、崖っぷちですもんねぇ...

★tetsurowさん:
高いところが苦手な人はここはかなりヤバいかと思います。^^;
私はわりと高さがあるところは平気なのですが、さすがにここでは、落ちたら死ぬよなぁ...と緊張しましたから。(笑)
でもホント、まさに絶景といった眺めは素晴らしいものでしたよ~♪

na- さんのコメント...

こんにちは~
まとめて読ませて頂きました
すごい!素敵な場所~!!
柵無いんだ…と思うのはやはり日本人の感覚なんでしょうか
このような場所に柵は確かに興冷めですよね…

靴を履いたペンギンくんで涙し
ウサギの大きさにビビリ
アザラシちゃんの寝姿を「あれ?ウチでよく見るけど?」と親近感を持ち(笑)
…mari_caさん宅でもよく見られません?(みいちゃん、失礼!)
アザラシちゃんの裁判の話し、懐かしいというか…まだ争っているんですね。
海は海の生物に渡すべきだと思いますけどね

なーネコ さんのコメント...

すいません…↑のコメント私です
名前がおかしくなってしまいました…^^;

それと、非公開コメがこちらでうまく入らない(そういう機能無いんでしょうか?)
のでエキサイトの方に入れさせて頂きますので
お時間あるときにご覧いただけたらと思います

mari_ca さんのコメント...

★なーネコさん:
そうなんですよ~、こういうところに柵がまったく、もしくはほとんどない...ってところ、多すぎるんです。
駅のホームでさえも、白線の内側に下がれだの電車が来たので気をつけろだの、しつこいほどに安全対策のアナウンスが入るような日本では考えられませんよねー。(笑)

Bloggerでの非公開コメ、やり方があるのかもしれないんですが、設定の仕方がわからないんですよ~。(汗)
なので、これを機会にブログ上部のメニュー欄にメルアドを載せることにしました。

エキサイトのほうのコメ、ありがたく、そしてワクワクしながら読ませていただきました。
どうもありがとです~~~!(^O^)

まーちもーち さんのコメント...

すっかりご無沙汰してしまいました。
実は家の大ちゃんは今入院してしまって…
しばらくブログをお休みしていましたが今日から再開しました。
今はまだ闘病記ですけど、元気になったら通常の【えむきち日記】になりますのでまた遊びに来てくださいm(_ _)m


高低差300m…高所恐怖症の私は足がすくんで
見ることが出来ないかも…
実際見たら感動で怖さなんて忘れるのかなー

mari_ca さんのコメント...

★まーちもーちさん:
え?!
大ちゃん大丈夫?
いつも元気な印象があったので、びっくりしてます。
大ちゃんファンとしてはなんとしても元気になって欲しい…
ガンバレ大ちゃん!

hakjn さんのコメント...

mariさん、こんにちわ

この記事に関連してこのホースシュウベントの360度の景色写真を見かけました。 
http://www.airpano.ru/files/Horseshoe-Bend-Arizona-USA/2-2
、、これもあわせてみると、とても雄大な景色のところでここにも行ったことがあるmariさんが羨ましくなってきます。^^ mariさんの思い出も蘇ってくるかも?

それから、ブログの引越しされましたが、そのトップページのごあいさつで、{以前前のブログ}のリンクで、以前のブログへのリンクができませんので(私だけ?)ちょっと確認してみてください。

新しいブログでは、mariさんの写真も良かったので写真が前のようにもっと大きいといいな~と思っています。
mariさんのファンとして一言。 ^^